三十路の図書委員、本棚から覗くモテ世界

30歳、独身、彼女なし。ややイケメン。この「やや」がやっかいだ。昨今、読書男子がモテるというけれど、クラスではドッチボールのうまい男子がモテていた。そんなこと小学生時代からわかってた。

『こころの処方箋』〜自分の気持ちだってわからないしね〜

ーーうっかり他人のことを真に理解しようとし出すと、自分の人生観が根っこのあたりからぐらついてくるーー

『こころの処方箋』に書いてある言葉なのだけれど、最近この言葉をよく思い出す。

 女の子と映画を観に行った時のこと。ちょっと感動的な映画を見ていたら、隣からすすり泣く声が聞こえた。女の子とは十数回近く映画を観に行っているが、たいてい泣く。感受性が強く、とても涙もろい女の子なのだ。

 でも、この女の子は、恋愛をしない。というか、できない。努力したことはあるけれど、人を好きになれたことがないらしい。

 いっぽう私は、女の子が大好きだ。誰彼構わず好きにはなったりしないけど、恋愛はする。

 が、映画などで全く泣かない。誰かが死んでも、辛いことがあっても、泣かない。

 恋愛映画を観て号泣している女の子を横目に見ながら、「恋愛映画を見ながら泣いているこの女の子は、人を好きにならないんだよな」と思い、女の子の方は「この男、こんな映画を見て涙を流さないだなんて、なんて冷徹な男なのかしら」と思っているのだろう。

 どんなに仲が良かっても、相手の事を真に理解するというのは簡単ではない。うっかり自分の根っこのあたりがぐらついてくる。

 その女の子に心を奪われていた私は、自分の根っこをぐらつかせながら、女の子がいつか自分を好きになってくれないかしらん、と夢想するのであった。

 

『こころの処方箋』河合隼雄/著