三十路の図書委員、本棚から覗くモテ世界

30歳、独身、彼女なし。ややイケメン。この「やや」がやっかいだ。昨今、読書男子がモテるというけれど、クラスではドッチボールのうまい男子がモテていた。そんなこと小学生時代からわかってた。

『イン・ザ・プール』~モテる男は空気を読めない?~

「じゃあまたこっちから連絡するね」

 と女の子から言われてるのに、しばらく日がたってから「今度いつあそぼっか」的な連絡をしてしまう男はほとほとダメな男である。

 ということを、あるとき発見して以来私はそれを信じ続けている。

 だって「こっちから連絡するね」には

「こっちから連絡するまではしないでね」が含まれているし、

 「こっちから連絡来ないってことは・・・・ねぇ、わかるでしょ?」が含まれているからだ。

 にもかかわらず、 そういう、直接的な言葉を避けスマートに断るセリフを言われているのに、それを察することができず、

「あれぇ?あの子からまだ連絡こないなぁ、こっちからしちゃえ」というポジティブさをはき違えた男子は実は相当多い。

 女友達や知り合い、職場の先輩などから断ったつもりなのにメールきたという話を聞くたびに、こいつら生粋のダメ男だなぁと思っていた。

 しかし、だ。 

 しかし、である。 

 よくよく考えてみると、そういう空気を読まない男は、なぜだかいつも彼女が途切れていないのである。

 それはなぜか? 決まっている。

 そういう男はめげないのだ、めげずに少しでも可能性があればバンバンモーションかけるのだ。

 一時期遊んでいた知り合いがいて、彼は典型的にそういうタイプで、
かわいい女の子がバスに乗っているのを見つけたら、タクシーに乗り込み

「前のバスを追ってください」と真顔で言えちゃう男だった。

 案の定、彼は周りの友人から馬鹿にされていたが、恐ろしいほどの行動力の末、素敵な奥さんと結婚することになった。

空気を読もうとして行動ができない男と、空気が読めずひたすら行動する男。
はたしてどちらがモテるのだろうか。

イン・ザ・プール』シリーズの伊良部(精神科医)がまさしくそんな男だ。彼はモテているわけではないけれど、空気を読まないが故、小説で患者を治している。シリーズものだぞ。

 

イン・ザ・プール奥田英朗/著 2005年映画化