三十路の図書委員、本棚から覗くモテ世界

30歳、独身、彼女なし。ややイケメン。この「やや」がやっかいだ。昨今、読書男子がモテるというけれど、クラスではドッチボールのうまい男子がモテていた。そんなこと小学生時代からわかってた。

『怪物はささやく』~究極の心理テスト~

 あるとき女の子からこんな心理テストをされた。

「ねぇ、好きな女の子の条件を三つ答えてみて」

 私は少し考えてこう答える。

「優しい人。センスがいい人。最後の3つ目は散歩が好きな人かな」

「じゃあさ、もし4つ目があるとしたら何になる?」

 私はしばらく考える。

「あんまりないけど……、そうだなぁ、『顔』かな」

 女の子はとびっきり面白いものを見たような顔で爆笑する。

「その4つ目があなた本当の条件なのよ」

 確かに。どんなに性格がよくっても、人間と同じ身長のカマキリとは付き合えない。一応カマキリは好きだよ、虫として。ただまぁ、恋愛対象にはならんな。

 んで、私もその女の子のように爆笑したいと思い、色んな人にテストをしてみたけど、正直あんまりおもしろくない。

 4つ目が「優しい人」という人もいるし、そもそも4つ目が出てこない人だっている。自分で言うのもなんだが、1番目に性格を出しておきながら4つ目に「顔」と答えるくらい、出題者にとって気持ちいい答えはないのではなかろうか。

 そして三十路にもなると、もはや心理テストの話題にならない。残念に思っていたら、つい先日、奇跡的に心理テストの話になった。

 その場にいたのは計5人。親友の男と私、それとまだ仲良くない3人の女の子だ。心理テストの話題などもうそうそう出るものではない、もしかしたらこれが最後かもしれぬ。私は彼女たちに質問をしてみる。

「好きな人の条件を三つあげるとしたら何?」

んー、と一人の女の子が何か言おうとした刹那、親友の男が口を開く。

「たかしはあれだろ、巨乳とB専だろ。三つ目は浮かばんな」

 私はあまりの怒りで我を忘れそうになる。

「何を言うか! B専はともかく巨乳好きとは何事だ! 私はささやかなお胸が好きだ!」

 などと叫びたいが、私のおっぱい事情を訂正しても女の子には何の得にもならん。しかも女の子3人とも小さくないし。おっきい人も素敵だし、というか俺B専じゃないし。

 親友よ、その発言は私も女の子たちにも、そしてお前自身にも、きっと誰の得にもなっておらんぞ。

――昨日、映画『怪物はささやく』を女の子と観に行った。13歳の少年の話だ。木の怪物が少年の前にやってきて、「今からお前に3つのストーリーを話す。そのあとお前が4つ目のストーリを話せ、そのストーリーこそお前の抱える真実だ」という話だ。

 物語の終盤の感動シーンで、横から聞こえる女の子が鼻をすする音を聞きながら、何故だかあの心理テストを思い出した。

 最後にこんな心理テストを一つ。

「あなたにとってかばんはどんな存在ですか?」

 私にとってかばんは「とにかく大切で、一生使っていきたいもの」だ。これは答えを聞く前のマジの私の回答なのだが、あまりにかっこよすぎる答えなので、逆に出題できない。

 

怪物はささやく』2017年映画