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三十路の図書委員、本棚から覗くモテ世界

30歳、独身、彼女なし。ややイケメン。この「やや」がやっかいだ。昨今、読書男子がモテるというけれど、クラスではドッチボールのうまい男子がモテていた。そんなこと小学生時代からわかってた。

『化物語』~“先入観”という自分の壁を越えよ~

トイレから大学のパソコン室に戻ると、デスクトップがロリコンのアニメキャラに変わっていた。40台ほどあるパソコン室にいた学生たちが侮蔑の眼差しを送ってくる。やられた。あいつだ。あの男しかいない。

 その男は、それまで「なんとなく好青年風」だった私のキャラを壊そうとしていた。街を歩くたび「あっ、たかしあの子タイプなんじゃない」とランドセルを背負った女の子を指さす。好きな女の子の話になったときに、「でもいいのか? △△ちゃんって幼女じゃないだろ」と真顔で言ってくる。

 仮にも年上好きのこの私に、あろうことかロリコン趣味を擦り付けてくるとは言語道断。私は男に罰を与えるために、2日前、男が使っていたパソコンのデスクトップをアニメキャラに変えてやった。それが裏目に出たのだ。

 ここいらで本気を見せておく必要があるのかもしれない。私はそれまで嫌悪していた萌え萌えアニメキャラを片っ端からネット検索し、遂に最高の仕返しを発見した。フィギュアだ。

 あの男がトイレに行っている間に、血眼で見つけたそれっぽいキャラ、八九寺まよいのフィギュアをやつが使っているパソコンの上に置いてやるのだ。あの男こそロリコンだと皆に植え付けてやる。これで女子もドン引きだ。

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↑八九寺まよい  アニメ『化物語』より引用

 

 

 私はアルバイトで貯めたお金を降ろしショップに走った。店員さんを呼んで、ガラスに陳列されてあった八九寺まよいのフィギュアを取ってもらう。

 不意に、後ろから視線を感じた。こういう時のカンだけは妙に冴えているのだ。あの男がいやがる。

 しかし振り返った先にいたのは女の子だった。私が密かにかわいいと思っていた△△ちゃんだった。とても利発なその彼女は、全てを察したようで何も言わず微笑み去っていった。

 彼女はおそらくこのことを誰にも言わないだろう。だがその利発さが、ここでは私の命取りとなった。バラされる心配が無いかわりに、彼女への弁解の余地も無くなる。彼女の中に、あぁ、たかしくんてロリコンだったのね、だけ残る。

 家に帰り、悔しさのあまりそれまで嫌悪していた「アニメ」と呼ばれるものを観てやった。八九寺まよいが出ている『化物語』を観てやった。すげー面白かった。

――それが俺とアニメとの出会いさ。社会人になった私はバーのカウンターで同僚に話す。「自分の壁を越えた話」からその話になったのだ。同僚がマティーニを飲み干して口を開く。

「そっか、そんなきっかけがあったとはな。なんにせよ『なんか気持ち悪い』で勝手に切り捨ててたもの(アニメ)と向き合えたのはよかったのかもな。でも知らなかったよ、お前がロリコンだったなんて」

 まぁそうなってしまうわな、この話をすると。奴の思うツボだ。

 その翌日、私は仕事終わりにあの15歳の美少女と出会った。

 

小説『化物語』シリーズ 西尾維新/著 アニメ化

あの15歳の美少女との出会いはこちら↓

shikataeunita.hatenablog.com


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