三十路の図書委員、本棚から覗くモテ世界

30歳、独身、彼女なし。ややイケメン。この「やや」がやっかいだ。昨今、読書男子がモテるというけれど、クラスではドッチボールのうまい男子がモテていた。そんなこと小学生時代からわかってた。

『東京タラレバ娘』〜好きな人に髪の毛を切ってと言われたらどうしますか〜

東京タラレバ娘』の主人公3人組(33)の1人が、好きな男に「髪型を変えて欲しい」と言われて、「若い頃ならしてたかもだけどもうしねーよ、ないわー」と3人組で飲むくだりがある。

  私はそのマンガでいうところの“若い頃ならしていたやつ”を完璧に体現していたことがある。

  片思いの女の子が好きだという髪型(襟足とサイドは短めの、劇団ひとりさんみたいなやつ)にし、メガネを常にかけた。幸運にも、その子が大好きだという、スーツの上に白衣を着る職場にいたから最強だと思っていたのだ。我ながらその愛は怖い。思い返しても気色が悪い。

 そしてそんな狂気に満ちた恋は当然終わる。

 私はまずメガネをやめた。つけ始めてから1年半が経っていた。次に髪をばっさり切ることにした。せっかくなら失恋して髪を切る乙女感を味わいたい。実際乙女が切るかは別にして。

 私は美容師に「スーパースーパーショートにしてください」とお願いする。

 美容師は私の髪に触れながら、「お客さんずっとメガネを掛けてるでしょう。掛けてる人は両耳の上が少しヘコむんですよね」と言った。

 もし恋が上手くいっていたらその“へこみ”は勲章。だが今となっては、見るたびにただただ凹む。と、うまいことを言ってみる。

 あの片思いは純粋なものだと思っていたが、こうして文章にしてみるとヤバイ奴だとよく分かる。

 やはり、自分を客観視することは大切だ。「〜だっ“たら”」「〜して“れば”」ばかり言っていた『東京タラレバ娘』の3人は、最新刊の6巻でようやく自分を客観観できるようになってきた。

『SATC』や『いつかティファニーで朝食を』が好きな女の人は楽しめると思うが、女を一括りにするな、と言われ「たら」落ち込むので断言できない。

 

東京タラレバ娘東村アキコ/著 2017年 ドラマ化