三十路の図書委員、本棚から覗くモテ世界

30歳、独身、彼女なし。ややイケメン。この「やや」がやっかいだ。昨今、読書男子がモテるというけれど、クラスではドッチボールのうまい男子がモテていた。そんなこと小学生時代からわかってた。

『私の男』~絶対落ちる口説き文句~

ぴちぴちギャルに口説かれた。しかも誰しもぐらっとくる洒落たセリフで。 ぴちぴちギャルは会社が主催するイベントに来ていた。イベントの終わりに、会社が用意した各種チラシをじーっとみているぴちぴちギャルがいた。 私は彼女に近づき、 「このコーナーの…

『school rumble』~世界一オシャレなお酒の飲み方~

きっかけを覚えている人は少ない。 自転車に乗ろうと思ったきっかけ、ピーマンが食べられるようになったきっかけ、テレビを見始めたきっかけ……。 私も“きっかけ”の殆んどを忘れてしまったけど、花火が好きになったきっかけは覚えている。きっかけはアニメだ…

『ゆりキャン』~男のモテる香水の付け方講座~

16歳の頃おなかに香水を付けていた。 たしかグッチの「エンヴィ」だったと思う。タバコの臭いを隠すためにどぎつい香水を付けている同級生を見て「ダサいなぁ」と漠然と思っていたときに、テレビで「男性はおなかに香水をつけてから首に付けるとほのかに香り…

『きよしこ』~セーラー服と竹とんぼ~

一度だけヒーローになったことがある。 小学校の図工の時間に私が作った竹とんぼが5メートル飛んで、私はクラス中の羨望を浴びた。皆は手から離れた瞬間に落ちるか、飛んでもせいぜい1メートルだ。 実はその竹とんぼには、私の他にもう一人の力が加わってい…

『蘇る変態』~行き過ぎたフェチ~

大人数の集まりが苦手だ。 理由は2つある。ひとつは大人数で話しているときに会話に入れないこと。なんで皆あんなにポンポン会話に参加できるのだろう。学校で習ったっけ? というか、本当、みんなあれどこで習ったの? もうひとつの理由は、特に初対面で繰…

『短歌ください』~四葉のクローバーの有効期限~

数年前に友人との待ち合わせでスタバに行ったときのこと。先に到着していた男友達の席にコーヒーを持って行くと、テーブルに歌集『短歌ください』がこれ見よがしに置いてあった。 どうやら「俺、短歌なんか読んじゃうんだぜ」とその意識の高さを周りの女の子…

『映画編』~好意のバロメーターを計る方法~

女の子との初めての食事は苦手だ。相手の緊張が伝わってくる場合があるからだ。それは噛み切れず呑み込めないイカの異常な咀嚼回数だったり、パスタをすすらずリスみたいにチマチマかじったりする所作に表れる。 これらを見るのがとにかく苦手で、女の子に気…

『少女七竈と七人の可愛そうな大人』~私ってブスだからさ~

世界三大“返答に困る言葉”のひとつが「ほら、私ってブスだからさ」だ。 「そんなことないよ」と言うと「は? 気休めはいらねーんだよ」という顔をされるし、かといって「うん、そうだね」と言うわけにはいかない。 それに、「俺はそうは思わない! みゆきち…

『ピーナッツバター』~シティボーイの左ふくらはぎ~

シティにはいけすかないチャリが多い。 ママチャリじゃなくて、あの荷物も載らないような、3点で重心を支えるいわゆる“クロスバイク”というやつだ。 私はシティボーイたちのチャリはいけすかねぇなと思いながら、この間クロスバイクを買った。しかも結構い…

『こころ』~洒落た告白の仕方~

I Love Youを夏目漱石が「月が綺麗ですね」と訳した、というのは大分有名になったので知っていてもモテない。 正確には、まだ“愛”という言葉が日本に浸透してなかった頃に「我、汝を愛す」を訳した弟子に対し「日本人がそんなこというもんか、そこは君、『月…

『ふがいない僕は空を見た』~女の子にモテる部屋はこれだ!~

あるラッキーがあった。女の子が私に貸していた映画を急遽取りに来たいというのだ。それもけっこうな夜に。 まだ観終わっていなかった映画を鑑賞しながらワクワクする。家に来たことないから近くのコンビニに来てもらってちょっとおしゃべりしてあわよくば私…

『怪物はささやく』~究極の心理テスト~

あるとき女の子からこんな心理テストをされた。 「ねぇ、好きな女の子の条件を三つ答えてみて」 私は少し考えてこう答える。 「優しい人。センスがいい人。最後の3つ目は散歩が好きな人かな」 「じゃあさ、もし4つ目があるとしたら何になる?」 私はしばらく…

『4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子と出会うことについて』と『人間失格』

四月のある晴れた朝、勤め先の事務所で女の子に「たかしさんはどんなセックスをするんですか」と唐突に聞かれた。 大して綺麗な女の子ではない。素敵な服を着ているわけでもない。というかほとんど話したこともない。彼女が入って4か月は経っていたのに挨拶…

『本日は大安なり』~お互い独身だったら結婚しようよ~

○○歳までにお互い独身だったら結婚しよ、というのは鉄板である。 私もいままで何人かの女の子とそういう話になったことがある。ただ、(私の周りの女の子だけかもしれないが)そう言ってきた子は約束の歳になる前に必ず結婚してしまうのだ。 悔しい。私は未…

『女たちは二度遊ぶ』~時差ボケの女~

真夜中に女の子から電話がかかってきた。 眠かったし、夜中の電話でいい内容だった試しはないから迷ったのだけれど、吉田修一の『女たちは二度遊ぶ』を読んだ直後でもんもんしてたので、電話を取った。 「もしもし」と女の子。そこから10分ばかし、女の子…

『ロマンス』〜第5回 スタパで恋は生まれるのか~

おそろしく愛想のいい女だった。私は27で、女は22歳。女とは週に一回ほど会う間柄だった。というかまぁ、なんだ。スタバの店員さんと客の関係だ。ただのね。 その愛想のいい女の子はとても気さくで、お客さん一人ひとりに一言声をかけたり、笑顔を一瞬も絶や…

『レ・ミゼラブル』~図書館の神様~

『レ・ミゼラブル』という物語のなかに、とても不幸な母娘が登場する。 母親であるファンティーヌは、公園の椅子に座っていた水知らずの優しそうなおかみさんに娘コゼットを預け出稼ぎに出掛けた。 コゼットの洋服代や薬代をおかみさんに再三請求され、ファ…

『そうか、もう君はいないのか』〜雑誌に載ってモテる方法〜

紙面デビューが決まった。数十万部発行される媒体にである。 人物スナップの人員が足りなかったから会社の人にお願いされただけなのだが、デビューはデビューだ。私はそのコーナーに載る3人の1人に選ばれた。 世の中、全ての人に愛される人がいないのと同様…

『さくら』~超絶かっこいい振り方〜

愛人に間違われることがある。男友達の彼女に「第二夫人」とよく言われる。 もちろん本気で思っているわけではなく、それだけ仲がいいもんねというギャグなんだろうけど、そこに割と強い嫉妬心が含まれているのがちょっとこわい。 喫茶店で女の子と話してい…

『きりこについて』〜可愛いは作れる〜

「可愛いは作れる」レベルで「ハゲは隠せる」。大丈夫、そう信じて生きてきた。 たとえ剃りこみが強くても、てっぺんから髪の毛を伸ばしていけばM字は隠せる。 髪の毛の薄さが気になりだしてから、半年ほど髪の毛を伸ばしていた。その間、美容室には行って…

『ペンギン・ハイウェイ』~女の子との2ショットの取り方〜

世界一滞空時間の長い紙ヒコーキは、29.7秒飛んだらしい。4月のある晴れた日曜日、私は女の子を誘って広い公園に来た。「世界一飛ぶヒコーキを作ろう」という、ちびっこ向けイベントのための事前テストだ。 私たちが飛ばす場所を探していると、公園の端…

『ハチミツとクローバー』

「たかし、今話しかけてきた女の子って誰かわらかなかったでしょ」 大学の後期授業の初日、モテ師匠である亜門さんが笑いかけてきた。私はまさに謎の美女に話しかけられたばかりなのだ。そしてその美女は私のことを一方的に知っていて、なぜか私を友達だと思…

『涼宮ハルヒの憂鬱』~アニメ乳~

ライトノベルに親友を奪われてからひと月が経っていた。 UKロックとコーヒーとをこよなく愛し、飲み会を至高の喜びとしていたSが、アニメ表紙の小説をすすめてきたのがそもそもの始まりだ。 私ともう一人の友人Mは、アニメの絵の表紙を見て正直戸惑った…

『夜と霧』~シティボーイの前髪~

都会に引っ越した。なんというか、大分“シティ”だ。 買い物カゴの中に冷凍ハンバーグをこっそり入れられる嫌がらせをされたし、初めて入った定食屋では、OLのおねいさんが平日の昼間から一人ビールを飲んでいた。田舎ではまずないことだ。 だがそんなことよ…

『怒り』〜モテそうなのにね裁判〜

「モテそうだよね」と、一時期女の子に言われていたことがある。当時まだ亜門さんと仲良くなる前だった私は、普通に褒め言葉として受け取っていた。だが、いくらかの経験を経て、褒め言葉ではないと気づく。 私はそれが「でも、モテそうだよね」という、一種…

『僕が人形と眠るまで』〜30までに性欲ゼロ〜

27歳のとき、30までに性欲をゼロにしたいと思った。その時期2度ほどトラブルに巻き込まれていて、巻き込まれるのは俺に性欲があるからだという謎の理屈からだった。 しかし、性欲はそう簡単にはなくならない。私は人一倍女の子にモテたいのだ。そればっかり…

『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』

学生時代のとある冬、朝目覚めるのとほぼ同時に、女友達からこんなメールがきたことがあった。 「今すぐ共同玄関のロビーに来てください、早く!」 ねぼけまなこの僕がとぼとぼと共同玄関に行くと、 そこには何やら小さな箱と紙が置いてあった。紙には 「リ…

『花吹雪』~雨上がりのアスファルトが嫌いになりそうなエロティックな香り~

4階から降りるエレベーターの中で、ひたすら女性に胸を押し当てられていた。 背中にぐいっとめりこんでいる。饅頭だったら割れているレベルだ。 彼女はそれまで合コンで一緒だったメンバーの一人だった。普通なら喜ぶべき場面かもしれない、だがそれどころ…

『恋文の技術』~告白を成功させる待ち合わせの方法~

昔、テレビの街頭インタビューで「待ち合わせのとき、男の人にどんな座り方でいられたらキュンとしますか」という、今書いていても嘘なんじゃないかと思うような謎の質問があった。 選択式ではなかったのに、女子から圧倒的に人気の座り方があった。それは、…

『渇き。』〜蠱惑的な彼女〜

「蠱惑的」という言葉に出会った。 丁寧にルビがふってあったので、それが「こわくてき」と読むことを知り、続いて辞書で意味を調べると「人の心をひきつけ、惑わすさま」という意味だと知った。 瞬間、辞書の前で私の全身がビリビリっといった。なんと素敵…