三十路の図書委員、本棚から覗くモテ世界

30歳、独身、彼女なし。ややイケメン。この「やや」がやっかいだ。昨今、読書男子がモテるというけれど、クラスではドッチボールのうまい男子がモテていた。そんなこと小学生時代からわかってた。

『きりこについて』〜可愛いは作れる〜

「可愛いは作れる」レベルで「ハゲは隠せる」。大丈夫、そう信じて生きてきた。 たとえ剃りこみが強くても、てっぺんから髪の毛を伸ばしていけばM字は隠せる。 髪の毛の薄さが気になりだしてから、半年ほど髪の毛を伸ばしていた。その間、美容室には行って…

『ペンギン・ハイウェイ』~女の子との2ショットの取り方〜

世界一滞空時間の長い紙ヒコーキは、29.7秒飛んだらしい。4月のある晴れた日曜日、私は女の子を誘って広い公園に来た。「世界一飛ぶヒコーキを作ろう」という、ちびっこ向けイベントのための事前テストだ。 私たちが飛ばす場所を探していると、公園の端…

『涼宮ハルヒの憂鬱』~アニメ乳~

ライトノベルに親友を奪われてからひと月が経っていた。 UKロックとコーヒーとをこよなく愛し、飲み会を至高の喜びとしていたSが、アニメ表紙の小説をすすめてきたのがそもそもの始まりだ。 私ともう一人の友人Mは、アニメの絵の表紙を見て正直戸惑った…

『夜と霧』~シティボーイの前髪~

都会に引っ越した。なんというか、大分“シティ”だ。 買い物カゴの中に冷凍ハンバーグをこっそり入れられる嫌がらせをされたし、初めて入った定食屋では、OLのおねいさんが平日の昼間から一人ビールを飲んでいた。田舎ではまずないことだ。 だがそんなことよ…

『怒り』〜モテそうなのにね裁判〜

「モテそうだよね」と、一時期女の子に言われていたことがある。当時まだ亜門さんと仲良くなる前だった私は、普通に褒め言葉として受け取っていた。だが、いくらかの経験を経て、褒め言葉ではないと気づく。 私はそれが「でも、モテそうだよね」という、一種…

『僕が人形と眠るまで』〜30までに性欲ゼロ〜

27歳のとき、30までに性欲をゼロにしたいと思った。その時期2度ほどトラブルに巻き込まれていて、巻き込まれるのは俺に性欲があるからだという謎の理屈からだった。 しかし、性欲はそう簡単にはなくならない。私は人一倍女の子にモテたいのだ。そればっかり…

『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』

学生時代のとある冬、朝目覚めるのとほぼ同時に、女友達からこんなメールがきたことがあった。 「今すぐ共同玄関のロビーに来てください、早く!」 ねぼけまなこの僕がとぼとぼと共同玄関に行くと、 そこには何やら小さな箱と紙が置いてあった。紙には 「リ…

『恋文の技術』~告白を成功させる待ち合わせの方法~

昔、テレビの街頭インタビューで「待ち合わせのとき、男の人にどんな座り方でいられたらキュンとしますか」という、今書いていても嘘なんじゃないかと思うような謎の質問があった。 選択式ではなかったのに、女子から圧倒的に人気の座り方があった。それは、…

『渇き。』〜蠱惑的な彼女〜

「蠱惑的」という言葉に出会った。 丁寧にルビがふってあったので、それが「こわくてき」と読むことを知り、続いて辞書で意味を調べると「人の心をひきつけ、惑わすさま」という意味だと知った。 瞬間、辞書の前で私の全身がビリビリっといった。なんと素敵…

『神様のボート』~事実には簡単に行きつくが、真実にはなかなか到達しえない~

※知的です。 私は男と2人でラブホテルに行ったことがある。事実そうなのだが、真実はそこから想像されるものとは少し違う。 あるとき、友達(男女)4人で飲んでいた。宿泊予定のホテルに手違いで泊まれなくなったこと、その日は入試か何かで他のホテルが全…

『とにかくうちに帰ります』~合コンの作法~

合コンには作法がある、と3回目で気づいた。私は過去4回、合コンに行ったことがある。一度目は25歳の時、あとの3回は26歳の時でそれ以来行っていない。単純に自分には向いていないと気づいたからだ。とにかくその3回目の合コンで、私は「合コンの作…

『花が咲く頃いた君と』〜女子に嫌われるタブー〜

めずらしく女の子に誘われて食事に出掛けていた。女の子はとても楽しそうだ。まだ付き合ってはいない。しかし私は長年の経験から、このあと部屋にお呼ばれすることになると確信していた。そんなときこそ注意が必要だ。どこにタブーがあるかわからないのだか…

『東京タワー』~東京という名の小宇宙(コスモ)~

「そういえばこの間○○くん東京にきたよ」 上京して8年になるMが電話口で言ってきた。東京には2度だけ行ったことがあるが、どうしても叶えられなかった夢がある。それは「東京タワー」を見ることだ。 「東京タワー」を題材にした小説は腐るほどある。今は…

『誓いじゃないけど僕は思った』~女子を釘づけにするかっこいいポーズの取り方~

「たかしさん、たかしさん大変です!」 業務後、楽しくおしゃべりしていた女の子が急に焦り出した。いったい何だというのだ。 「たかしさん出ちゃってます。“意図せずかっこいいポーズ”がでちゃってます」 そんな馬鹿な。私は自分のポーズを見た。 でちゃっ…

『家守綺譚』〜安西先生、バスケがしたいです〜

悪い癖というか、謎の特殊能力がある。それは「一度読んだ本の内容を異常なまでに覚えていること」だ。友人はそれを面白がってくれるので「おォ~っとっとォ、ベン・ベックマン」と急に振ってくる。私は間髪入れず「『ONE PIECE』の59巻」と叫び、…

『世界音痴』~悪魔のゲーム「ボーリング」~

やってきた。あの悪魔のゲーム「ボーリング大会」がやってきた。 職場の同期とその女友達8人で飲んでいたときのことだ。私は非・リア充生活にほんのひととき訪れたリア充っぽい雰囲気にいい気分で酔っていた。しかしその最中に、最年少の女の子(22)がい…

『貫かれた単純』〜15歳の煩悩〜

※下衆回です 「お前に俺の壁になってほしい」 高校1年生の昼休み、唐突に水本くんに言われた。今まさに机でお弁当を広げようとしていた私の手が止まる。なんだって? 私を“乗り越えるべき大きな壁”と見立てているのか? 「いや、お前の真反対の席に座ってる◯…

『キャベツ炒めに捧ぐ』~でも作るのは卵焼き~

男という生き物はムダに凝った料理を作りたがる。ミートソースでいいのにペペロンチーノにし、水炊きでいいのにもつ鍋にしたがる。あとチーズを多用したがる。もちろん全て私だ。女の子にはかっこつけたい。だが、こと一人分となると作るものが全然違う。庶…

『パレード』~桃子、180センチ〜

付き合って間もない女の子とカフェに行ったときのこと。 時計を見た彼女が「帰らなきゃ」と席を立ったので「そうだね、僕も桃子が……」と言いかけたら、困惑顔で「桃子って誰」と言われた。一瞬考えたが、家で育てている観葉植物に桃子と名付けていることを正…

『2.43』~男女8人一泊旅行~

コテージは2つ用意されていた。右が男で左が女(の子)。私はその日、女の子たちと一泊するという、神がかり的な幸運に恵まれていた。4対4。響きがよい。 夕暮れ時に川の散策を終えた私は、一人男部屋に戻って「あれ?」と思った。敷いていたはずの布団がな…

『猫道楽』~おいしい葉巻を吸いに行こう~

夜中に物音で目を覚ました。部屋の中に“何か”がいる。私は3か月前に同じ部屋で幽霊を見たばかりだった。やっとまたこの部屋で眠れるようになったというのに。 前回と違うところは金縛りにあっていないことだ。奇妙な出来事が起こり過ぎて少し感覚が麻痺して…

『残穢』〜だいぶポップな怖い話〜

「部屋にある合わせ鏡を絶対に開けて寝てはだめよ」 亡くなった祖母に言われて以来17年間、私はそのいいつけを守っていた。たった1日だけそれを忘れた。 模様替えの最中だった私は、ベッドと壁の間を30センチほど開けて眠った。翌日そこに小棚を置くつ…

『マチネの終わりに』(第4回 スタパで恋は生まれるのか)

遅番で会社に着いて早々、上司から声をかけられた。 「そういえば朝イチで女の子からお前に電話あったぞ」 「誰ですか」 「いや、それがジム『ビートル』の関係者っぽいんだけど、お前の名前は知らなかったんだよ。ただ、『身長が174センチくらいでスラッ…

『ニシノユキヒコの恋と冒険』(第3回 スタパで恋は生まれるのか)

スタバにいるときの「話しかけてくるなオーラ」がすごいらしい。 一度、他部署に行ったら、先輩に「昨日スタバにいたでしょ。俺も20分くらい居たけどあんなに集中されたら話しかけられんわ」と笑われたことがある。そもそも気がつなかったし、私としては読…

『下妻物語』〜チェスターコートの罠〜

やってしまった。オシャレをしてしまった。とんだミステイクだ。私は大都会の大通りで立ち止まる。通行人が迷惑そうにこっちを見てくる。だかそれどころではない、私は間違って“オシャレ”をしてしまったのだから。 その日の格好は、白のセーターにベージュの…

『ノルウェイの森』〜手っ取り早くモテる方法〜

友人に1人、美しい顔を持つ男がいた。大学生になって間もないころ、その男と2人で行動していた私は、女の子達から「美形の隣の人」という、漠然としている割に的確すぎる呼び方をされていた。 だがその男はとても陽気ないい奴で、いつも皆を笑わせていたので…

『変身』~二重まぶたになる方法〜

「整形した?」と久しぶりに会った女の子に言われた。「してないよ」と私が言うと、しばらくして「というか整形したよね?」と聞いてくる。私は定期的に人から――それも決まって女の子から――「整形した?」と聞かれる。 別にどっちでもいいのだが、整形はして…

『種まく人』~“気持ち悪い”のボーダーライン~

「十中八九そうだと思うよ」と私が答えると、女の子が急に笑い出した。 「前から思ってたんだけど、話し言葉で『十中八九』って使う人たかしさんしかいないよ」という。そうなのか。 また暫くのち、別の女の子から質問されたので、 「いや、先端に触れたくら…

『人間失格』~おいしいお肉を食べに行こう~

かれこれ30分は経っている。女の子たちは少しがっかりした様子だ。そりゃそうだろう、男がバーベキューの火を付けられない致命的だ。せっかく夜の川べりに来たというのに。 男連中はまだいい。更に言えば、女の子たちもまだいい。がっかりするか、されるか…

『化物語』~“先入観”という自分の壁を越えよ~

トイレから大学のパソコン室に戻ると、デスクトップがロリコンのアニメキャラに変わっていた。40台ほどあるパソコン室にいた学生たちが侮蔑の眼差しを送ってくる。やられた。あいつだ。あの男しかいない。 その男は、それまで「なんとなく好青年風」だった…