三十路の図書委員、本棚から覗くモテ世界

30歳、独身、彼女なし。ややイケメン。この「やや」がやっかいだ。昨今、読書男子がモテるというけれど、クラスではドッチボールのうまい男子がモテていた。そんなこと小学生時代からわかってた。

『自分をいかして生きる』

花を一輪、女性に贈った。確か赤のガーベラだったと思う。花言葉は「チャレンジ」。これから退院する彼女は一人暮らしに挑戦しなければならない。応援の意味も込めて選んだが、ガーベラは花言葉が沢山あるし、花言葉を調べられても邪推――と言ったら失礼だが…

『キッチン』

青豆ごはんは食べたことがなかった。 それどころか青豆を「あおまめ」と読むのか、それとも小豆(あずき)みたいに固有の読み方があるのかさえしらなかった。 もともと食に頓着のない私は、食べるものにももちろん無頓着。「毎日の食事であなたの身体はでき…

『とべバッタ』〜パンツが見たい〜

こんな話がある。 くさむらに、一匹のバッタがいた。まわりにはカマキリや蜘蛛、カエルなどが沢山いて、バッタは食べられないようにいつもこそこそ暮らしていた。でもある日、そんな自分がいやになった。バッタは大きな岩の上によじ登り、大胆にも日向ぼっこ…

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(第1回 スタパで恋は生まれるのか)

スタバという、いわゆるモテ男女が好む場所に行ってみた。私は生粋のタリーズ派なのだが、引っ越した家のすぐ近くにスタバがあったのだ。しかし私はカフェインが割と苦手。大量に摂取すると夜眠れなくなる。 初めてお店に行ったときカウンターにいたのはボー…

『沈黙』

第3ボタンまで開ける彼のことは、割と早い段階で気づいていた。当然といえば当然で、彼はテニスサークルの後輩だった。 知らない方も多いと思うが、テニスウェアのボタンは3つある。男は大抵1つ、暑い時は2つ開けていた(僕は「逆にカッコいい」という、…

【おすすめ映画②】大人の男女は目で語る

一時期、クリント・イーストウッド作品にはまっていた。『マディソン郡の橋』は、写真家の旅人(イーストウッド)と孤独を抱えた主婦(メリル・ストリープ)の不倫を描いた話だ。メリル・ストリープも大好きだった私は、迷わずツタヤで借りた。素晴らしかっ…

『そして生活はつづく』〜僕は平匡さんにはなれない〜

4年前、僕は平匡はんになりたかった。矛盾しているのはわかっている。4年前はまだ『逃げ恥』は放送されていない。でも、それが最も正確な表現だ。僕のなかでは少し――いや、かなり違うが、「星野源になりたかった」と言えば、ちょっとは理解してもらいやす…

『レヴォリューションNO.3』〜読書男子はモテるのか〜

昨今、読書男子なるものがモテるらしい。ただしイケメンに限る、という但し書き抜きで。それがもし本当なら大変なチャンスだ。本が好き過ぎて、司書になったのだから。私は早速、グーグルで「読書男子 モテる」と検索した(検索する時点でモテないよ、という…

『斜陽(しゃよう)』

ーー私の恋をしている人の身のまわりの雰囲気に、私の匂いがみじんも染み込んでいないーー とは、太宰治の『斜陽』のさして有名でもない一文だが、大抵の場合、人はそれぞれに誰かの匂い(影響)を体に染み込ませているように思う。 「影響」という言葉のも…

『女のいない男たち』~ドライブ・マイ・カー~

国道を一台の車が走っている。2007年式の4WD。辺りはもうすっかり夜だ。男と女が乗っていた。女はクラシックに耳を傾けている。男は、男の顔面は蒼白で、冬だというのにびっしり汗をかいていた――私だ。私はとにかく焦っていた。 女の子との食事の帰り…

『人のセックスを笑うな』

セクハラが嫌いだ。犯罪のなかで最も嫌悪していると言っても過言ではない。理由は(誰も俺のセクハラ論など知りたくないだろうから)書かないが、私は働くうえで常にセクハラしないよう意識している。女性から触られるのは良しとしている、念のため。 その前提…

『もしもし、運命の人ですか。』

あなたはどういう時に「この人運命の人だ」と感じますか? と聞かれたら、穂村弘のエッセイを思い出す。 それは穂村さんが女性と住宅街を歩いていると、 不意に女性が頭上の樹を見上げ「ここ昔、森だった?」とつぶやく、というものだ。 穂村さんも、「あん…

『昔日の客』

その日、僕はいつものように喫茶店でディカフェを飲んでいた。 ディカフェとはコーヒーからカフェインを抜いたもので、週2で喫茶店に通っている僕は、店員さんから「ディカフェ野郎」と親しまれていると信じている。 さて「ディカフェ野郎」こと私は、古本…

『論理哲学論考』〜一期一会について〜

ホテルで働いているころ、言語学者で思想家でもあるノーム・チョムスキーの息子で、自身もマサチューセッチュ工科大学の教授であるおっさんと話す機会があった。 とはいっても、その胡散臭いおっさんがそう言っただけで、本当のところはわからない ――彼は地…